その６ ２００１.０８.０８
不安じゃないですか？沖縄の宿の予約
電話の先の声は「８日ですか？」と、言った。
「なんでわかるんですか？」と、おれは逆に質問するハメになってしまっていた。
前回の沖縄ツアーが世紀越えのときだったから、それからずっと我慢の８ヶ月、柄にもなく仕事や家庭の些事に専念しているようなふりをしつつ捲土重来の機会をうかがっていたのだが、ようやく次の沖縄行の機会が巡ってきた。やれ、うれしや！
このたびは、エイサーを見に行く。
エイサーといえば沖縄中部がメッカで、そのあたりでは旧盆を中心にあちこちで道ジュネー（エイサー踊りをしながら道々を練り歩くもの）やエイサーオーラセー（道で遭った青年会同士がエイサーを競い合う）がみられるのをはじめ、旧盆明けの最初の日曜日にはコザで「全島エイサーまつり」がにぎにぎしく行われる。このエイサーまつりこそ、各青年会などが一夏の練習の成果を発表する、言うなればエイサーシンカ（仲間）たちのクライマックスで、毎年大勢の観客でにぎわうらしいのだ。手元にある本、「エイサー３６０度」（沖縄市企画部平和文化振興課編
１９９８）によると、２０万人以上の観客が訪れるというから、すごい。
そんなわけで、８月のある夜、コザの宿を確保するべく、いつもの「グレイスホテル」（ラブホテルではありません）に電話をかけたところ、もう５０年近くこの商売やってますねん…といった感じの哀調たっぷりのオジイがでてきて、こちらが「９月の…」と言っただけなのに、すべてを悟ったかのような口ぶりで「８日ですか？」と、言ってきたのだ。なかなかやるではないか。今年のエイサーまつりは９月の８、９日の両日、コザ総合運動公園で開催されるのだ。
オジイは「かかってくる電話はどれも８日の予約ばっかりで…」とぼやきながらも、人数、電話番号、名字の３点セットだけを確認するや、「じゃあね」というようなニュアンスの言葉とともに電話を切ったものだった。
でも、それでも８日はＯＫということは、それ以外の日はスカスカに空いているのでしょうか！？
沖縄の宿を予約する際、受話器を置いてから不安になってしまうのは、きっと私だけではないと思うが、いかがだろうか？ 普通ホテルなどを事前に予約しようとすると、フロント担当らしき女性などが電話口に出て、たいていはむこうが一方的に質問してきて、それにハアハアと息を荒くして答えているうちに必要事項が手際よく確認されていき「宿泊契約」が成立する…という構図になるものだが、沖縄は違う。
今回だって、料金の提示や到着時間などの質問は一切なく、また、こちらから「８日だけでなく９日も泊まるんだからね」と念を押さなかったら、オジイは完全に「８日から９日にかけての１泊２日」と思い込んでしまっていたのだ。何か、アブナイ雰囲気はないか？？
このほかにも、コザの「でいごホテル」にも２泊するので電話すると、同じような応対。こちらは女性であったが、「確認させていただきます。○月○日、ご一泊でシングルが１部屋…」と続くあの“確認”が、やはりなかった。
また、鳩間島の民宿に至っては、料金の説明などは当然のようになく、最後に「来れなくなったときは電話でも入れてください」 とのこと。
まあ、結局、予約内容をガチガチに固めてみたところで、台風が来たりフェリーが欠航になったりしたら元も子もないんだもんね…ということなのだろうけれど、ぜひこの「安心」というものをボクたちに与えてほしいものではある。
さて、今回の沖縄行は、自分にとって過去最大、最長の旅となる。９泊１０日だ。思い切ったことをしたものだと、自分でも思う。
仕事は大丈夫か！？ してまた、世間体や家族の理解は得られているか！？ 自分の欲求を満たそうとすれば必ず反対側で頭をもたげてくる問題だが、３ヶ月も前から根回しを始めていたのが効を奏して、なんとかクリア。こんな長旅は、仕事を除けば新婚旅行以来となる。しかも単独行となれば、もう気分は完全に舞い上がり、背中に羽が生えたような気分だ。
こうやって、職場からも家庭からも許されて、青二才でもあるかのように自由に行動できることがうれしくもシアワセである。
スケジュールの概要は、次のとおり。
９月 １日 夕 旧盆ナイター準全島闘牛大会（石川市、安慶名闘牛場）
夜 エイサー道ジュネー見物（コザ農連市場前）
９月 ２日 夕 「あしびなー」あたりで何かイベントないかな？
夜 民謡酒場なんかどうかな？
夜 エイサー道ジュネー見物（コザ諸見百軒通り）
９月 ３日 石垣島へ
９月４、５日 鳩間島滞在。島でのーんびり
９月 ６日 石垣島へ
９月 ７日 本島へ
久高島散策
夜 島唄ライブハウスなんかどうかな？
９月 ８日 日中 伊計島までドライブ
夕〜 全島エイサーまつり、オリオンビアフェストｉｎコザ
９月 ９日 日中 大宜味村塩屋のウンガミ見物
夕〜 全島エイサーまつり、オリオンビアフェストｉｎコザ
９月１０日 本島のどこかをドライブ〜帰路
いやあ、楽しみ。エイサーづくし！ 途中で飽きないかちょっと心配だけど…。
また、鳩間島では、なにもないところだけれどステキな景色と気候の中に身を置いて、読書と昼寝三昧を敢行するという、ある意味最高の贅沢、かつ最高の浪費を体験するのだ、ぐははは、うらやましいだろう。
かくなるうえは、今の最大の心配事は出発日に台風が来て飛行機が飛ばなくなること。夏の休暇をすべてここに充てているので、そうなればこの夏はすべてパー。ありがちなことだけに不安は募る。サリウートートー…神様、なんとかしてちょうだい！！
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